さて、断酒の話の続きです。
前回は、飲酒欲求を引き起こさないために、飢餓感を持たないようにする…という話をしました。
つまり買い物中に飢餓感がある状態で酒コーナーなどに出くわすと、たちまちそれが飲酒欲求に置き換わって、酒を買ってしまうということです。僕は何度も禁酒に失敗してきた口で、その度に自己観察を繰り返してきたんですが、自分の場合、どうもこの辺りにキーポイントがあるようです。
人によってはストレスやトラウマなど、逃避の手段としてお酒を飲むことがあるようですが、私の場合、満腹状態で酒コーナーに出掛けて行っても、ちっとも飲みたくないんです。
それほど深刻なドリンカーではないのかもしれません。
実は23年前にタバコもやめました。この時にお世話になったのが、アレン・カーの「禁煙セラピー」という著書で、これは効き目がありました。簡単に内容を紹介するならば、アレン自身の喫煙での失敗や後悔を赤裸々に綴り、読者を禁煙へ誘導するといったものです。
アレンは他にも「禁酒セラピー」「ダイエットセラピー」というシリーズを出しています。他の二冊も読んでみたのですが、これは僕にはちょっと効果薄でした。
とにかく禁煙には成功しているので、禁酒もきっと出来ると強く信じていました。禁煙にトライしていた頃によく意識していたことがひとつあります。
それは、吸う一週間と吸わない一週間は、どちらが体調が良く有益であるか?ということです。単純な比較です。これを僕は何度かやってみました。答えは明らかでした。
吸わないほうが良いに決まってます。しばらくはニコチンの禁断症状に悩まされるかもしれません。でもそれもいずれ薄れていきます。
こうした経験を自分なりに断酒に当てはめてみました。
お酒をやめると、体力的に向上しますし、何よりも情緒が安定してきます。
僕は世間的に、おおむね温厚な人間に分別されているようだけど、飲んだ翌日にはかなり言動が荒いような気が自分ではしていました。それはストレスが溜まっているからだと、長年思いこんでいましたが、年を取るにつれ、どうもそうじゃないらしい…と思うようになりました。
この身体の重さや腰痛や気分の落ち込みの原因は、何なんだろう。俺は太り過ぎだし運動不足かな…と思い、運動習慣を取り入れることで、問題解決を図りました。
確かに運動習慣は私の身体にある程度、良い効果をもたらしました。夜もよく眠れますし、体力も向上しました。しかしその運動も長続きしませんでした。
ここでまた冷静になってみますと、何故運動が長続きしなかったか、その理由も解ってきました。
やはり飲酒習慣です。運動すればお腹が空きますし、お酒だって飲みたくなります。
そして飲酒するために運動するようになります。
運動の目的が健康増進から、何故か飲酒へすり替わってしまいます。
この飲酒こそがネックとなるのです。アルコールの影響でやがて運動するのか億劫になり、元の不摂生な生活に逆戻りしてしまうのです。
そう気づいた時、僕はまた断酒に取り組みました。
ここまで書いて読み直すと、何だか自分が聡明な人間で、誰にも頼らず自分自身を立ち直らせたような印象を感じさせますが、実はそうではありません。
僕には断酒生活において、感謝すべき人物が二人います。次回はそのことについて書いてみようと思います。
それでは今日はこれで…。