僕には中学時代からお世話になっている理髪店がありました。 過去形で終わっているからもうお気づきでしょうけど、今はもうないんです。とても気さくなご主人が長い間僕の髪を切ってくれていたんですけど、10年前に亡くなりました。

見た目が知性派のダンディーでした。あまり不摂生をしている印象はなかったのですが、肝臓癌で亡くなられました。ある時からお店が休みがちになり、僕の友人もそこが行きつけだったので、二人して「一体どうしたんだろう」と話していた矢先でした。

そこの奥さんはお店を手伝っていたのですが理髪師の資格は 持ってなくて、息子さんは美容師ですがお店を継ぐ意思はなく、結局あの店のねじり鉢巻きのサインポールが再び回り出すことはありませんでした。

僕の友人は健聴なので、その後適当な行きつけのお店を見つけたようです。問題は難聴である僕です。まさか散髪屋の主人が若くして死ぬとは思わなかったので、代わりの理髪店を探すのにかなり苦労しました。

その頃には僕も結婚していたので、妻があっちこっち同伴して理髪店に入ってくれたのですが、結局どこにも世話になる気になれませんでした。

理髪店では後ろから話しかけられますよね。それもどんな感じで、どんな長さで、とか相当ややこしいことを事細かに尋ねられます。 僕はいつも「このままの感じを短くしてくれればいいです」としか言わないんですよね。以前はそれで済ませてた。そしてそれで了解してくれてた。散髪屋の主人が亡くなるということは、そういう甘えが一切通用しなくなるってことです。

調髪してもらう時は当然補聴器を外すわけだし、眼鏡も外すわけで相手の顔はよく見えないし、そんな無防備な状態で背後から話し掛けられたって、こっちは全然分かんないよ。
ヽ(`Д´)ノプンプン

結局出来もイマイチだったし、また来て欲しいと思っているようにも見えなかったし、何よりも僕自身が来店することを、迷惑なんだろうなぁと、決めつけて尻込みしちゃって、もう散髪屋に行くのが嫌んなってきた。なんとなくニートになった人の気持ちがわかるような気がします。

本当のところ、理容師さんは耳が悪い人たちのことをどう思ってるんだろうなぁと時々考えます。こっちは別にカリスマ並みのテクニックや特別なサービスを期待しているわけではなく、普通に髪を切ってくれればそれでいいんだけど、何かこう、行っちゃいけないような気がするんです。自分で何とかしろ、って言われているような、そんな気がするんです。バリバラで一度調べてもらえませんか?

閑話休題…。

とにかく髪は生えてくる。
そんなわけで僕は自分でやることにしました。

ウェブで調べてみると、結構セルフカットをやっている人が多くて、記事や動画をアップしています。そういうのをずっと読んだり観たりしていると、セルフカットは特別なことじゃないんだ、と思うようになり、通販で充電式のバリカンを 買ってしまいました。

なんだか僕は、度胸があるんだかないんだかよくわからない 人間ですね。度胸があったとしても、度胸の使い方を絶対に間違えている気が自分でもしてるんですが…。

それで通販で届いたバリカンですが、以下にそれとの付き合いについて書くつもりだったのですが、ちょっと長くなり過ぎましたね。続きは次回ということで…。