初夏だというのに、やけに寒い朝、僕は久しぶりに伯父さんと出会った。

僕は駐車場から車を出て、玄関に向かう途中だった。

伯父さんが白いTシャツに青い短パンという格好で、歩行器を押しながら、ヨタヨタと頼りなく、道路へ出ようとしていた。

サンダル履きだった。

僕は無言で近付き、伯父さんも無言で僕を迎えた。

僕は伯父さんを家の方向に向き直らせると、肩を抱いて玄関へと向かった。


伯父さんは抵抗する様子もなく、大人しく家の中に入って行った。

夢はそこでフェードアウトした。

夢の中の、死んだ伯父さんが行こうとしていた場所は、200m先の酒の自動販売機だった。

清涼飲料水の自販機と酒類の自販機が5台ほど連なっている商店が、僕の近所にはあるのだ。

焼酎や酎ハイ、ビール、タバコなど一通り揃っている。
実店舗の方はとっくに閉店しているのだが、自販機には今でも元店主が飲料の補充をやっていて、利用者が絶えない。

「おっさんは、よぉ…」
僕は頭を掻きながら苦笑した。
「俺の夢の中で飲もうとするの、止めてくれんかな」

僕自身の断酒は順調に続いているけど、ひょっとして飲みたい気持ちがあるのかな?
俺の中で…。

要注意する時期に差し掛かったんだろうな。
最近暑くなってきてよく汗をかくから。

伯父さんが何か警告しに来たような気がする。





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