夜勤明けの空腹時血糖値は126mg/dl。
やっぱり良くないな。
先日また、ろう者の理髪店で頭を刈ってもらってきました。
もう2年くらいになるのかな、あのお店。
ろう者の理髪店って何?と思う方もいるかもしれませんが、そういう店があるんですよ。
ろうあ学校の中にも、理髪を専攻しているところがあるらしくて、あのお店の店長もそこの講師らしい。
まぁ、店長に一度刈ってもらったことがあるけど、少しデザインが若向け過ぎて僕には合わなかった。
仕上がりがヒップホップなんだよなぁ…若く見えるんだけど、何か困ってしまった。
聴覚障がい者の方が経営している理髪店だから、さぞかし手話でコミュニケーションが必要になるんだろう、と思いきや、調髪中は手を調髪に総動員してるから、つまりハサミを握ってらっしゃるから、手話なんて全然出来ない。
その一方で、口話でのコミュニケーションも難しいから、もうずっと静寂に包まれながら、調髪が進んでいく感じ。
おしゃべりな健聴者からすると、さぞ異様な雰囲気なんだろうな。
でも僕のような人間からすると、話しかけてもらえないほうが、リラックス出来て助かるんだから、これはアベコベだな。
と・に・か・く…私はこの店を行きつけにしています。
決して、ひねくれ者だから、こうなったというワケではないんです。これは私という聴覚障がい者には必然だったの。
さて、8月台風やら豪雨が続いていて、髪が伸び放題になっていました。
普段は少し長めに切っているのですが、雨で外出する気にもなれず、どんどんボサボサになってきた。
やっと晴れ間が見えたので、さっそくいつもの店に直行しました。
ろうの女性店員さんが自動ドアの向こうに待機していて、ドアが開くと間髪入れず、プシャーッとスプレーで手指消毒。
梨汁ぶしゃー!!かいっ。
慣れない人はびっくりするだろうけど、これは彼女なりの合理的な接遇なんだな。平林都氏なら激昂必至だな。慣れれば問題なしだと思うけど。
「いやぁ、久しぶり~」とかコミュニケーションする間もなく、手早く椅子に誘導され、調髪開始。
もう少し、社交的なろう者はいるにはいるんだけど、彼女はとりわけシャイなんだろうな。店長はもうバリバリの社交型で、こっちの手話をしっかり待つ人なんだけど、彼女は違うんだよなぁ。先手必勝って感じで、ああしろ、こうしろと誘導してくる。
でもまぁ、ろう者もそれぞれだからさ。
俺だって店長のヒップホップを避けて、彼女一人の時間帯に訪ねたわけだし。
最初、この店に来た時は、手話でのコミュニケーションをやらねば、と気負っていました。
でも、今では、よほどのことがない限り、手話をやらないことにしました。
おそらくその方がお互いリラックスできるはず。
彼女も僕もずっと無言で髪を切っています。でも、それで心地良いんです。
彼女の調髪は、店内で見る限り、あまり上手とは思わないんですよ。
毎回鏡を見るたびに、「これで良いのか?」と思います。
もっとどうかしたほうが良くね?って。
一応、僕は手話で上手だと伝えています。彼女は笑顔で「どうも」と満足げに笑います。
でも不思議ですね。家に帰って鏡を見ると、ちょうど良い感じに見えるんです。
妻や職場スタッフも良い感じだと言ってくれます。
こういうことが毎回毎回続いています。
何故だか考えてみたんですが、たぶんあそこの調髪台というか椅子に座ると、不細工に見えてしまうのだろうと思います。
店内の採光や照明のせいなのかな?
まぁ、バリカンを片手に一人で調髪していた頃とは雲泥の差ですけどね。
昔はそうやって手元が狂ってハゲをこしらえてました。(過去記事を参照)
一週間くらい人目を気にして暮らすハメに…。笑
なぜ僕が、ろう者の理髪店に通うようになったかというと、実は偶然なんです。
ある日、ネットサーフィンしていたら、その店の記事を見かけたんです。熊本市のろう者の理髪店と書いてありました。
YouTubeで店長の取材動画の貼ってあって、人が良さそうで好印象を持ちました。
その頃はまだ手話初心者で、バリカンで自己整髪をやっていたのですが、ある日思い立って、その店に行ってみました。店内には手話で話す人たちがいて、彼らの世界に憧景があったのは確かです。
それから、僕なりに手話が上達しました。しかし上達するにつれ、ろう者の世界も健聴者の世界も、そう変わりがないことが分かりました。
どちらの世界に転んでも、嫌なことはあるし、僕は孤独だということです。
大した変化はないんです。
ただ、音声という呪縛から逃げる手段を得たし、自作のハゲをこしらえることもなくなりました。
次回は店長のいる時間帯に行ってみようかな。
ヒップホップも、ハゲよりはマシなんじゃないか、と思うことにして。
現在、世界的にも「サイニングストア」というものが試みられるようになっています。
英語で手話は、Sign Language(サイン・ランゲージ)と言います。手話で会話することを、Signing(サイニング)。
店内の共通言語が手話のお店を、Signing Store(サイニングストア)と呼ぶそうです。
つまり、ろう者が主体となって運営するお店です。
例えば、東京の国立市のスタバがそうです。NHKでもルポ番組やってましたよね。
お客も一生懸命になって手話を頑張ってた。
何か楽しそうですね。熊本にもオープンしないかな。
今回は、なじみになりつつある、ろう者の理髪店のお話でした。
都会の方ではスタバでなくても、ろうのカフェやバーがあるみたいですね。
皆さんもろう者のお店に興味があれば、ぜひ行ってみてください。
手話ができなくても大丈夫ですよ。
それではまた。