東京オリンピックが一年程度延期されることになりました。
色々と大変だろうけど、速やかにコロナが収束し、安心して暮らせる日々が戻ってくることを願っています。

さて…。

たぶん3~4年前だったと思うけど、「マスク依存症」に関するトピックスがウェブに掲載されてて、僕は難聴者の立場から「唇の動きが読めなくて困っています」ってコメントを投稿したことがありました。

あの頃は「依存症」として社会問題になっていましたが、やはり日常的にマスクを着用する人はまだ少数派で、今回のコロナウィルスでのマスク着用率と比べれば、まだ可愛いほうだったな、と苦笑しているところです。

それで先の僕の投稿に対する返信が結構寄せられていて、これが物凄かった。数が凄かったわけではないです、内容にちょっと驚いたんです。

「こっちはこっちの都合で着けているんだ。お前の都合なんか知るか」
「それは申し訳なかったな、お前さんが困っているなんて、露にも思わなかったもんで」

一瞬絶句して、いや、これは手厳しいなぁ、と気分が落ち込んだんですが、コメントの主は、何故だかほとんどが男性でした。

逆に、僕を擁護してくれるコメントもありました。こちらはほとんど女性でした。

何か、似たような境遇を経験したような気がする…と思ったんですが、何てことはない。前者は僕の親父の言い回しそっくりで、おふくろは打ちひしがれた僕を慰める役割だったんですね。

マスクの話に戻りましょう。

当然ながら、現在職場では100%の着用率です。僕自身もマスクを着けているんですから、これはもう四面楚歌といった状況ですね。どうしてもコミュニケーションを取る必要がある時には、マスクを下ろしてくれ、って頼んでます。

自発的に下ろしてくれる人は、なかなかいないものです。聴覚障害者が唇を読むということを大勢が知らないんですね。

この状況下では、僕のハンディキャップなんて、取るに足らない扱いで、ハザード時の障害者の惨めさは避けようがないのかな、と思う今日この頃です。

親切にマスクを下ろしてくれた人が、ウィルスを持ってたり、詐欺を企ててたりすることも考えなきゃならないし、ここは耐えるしかないですね。

僕は中途失聴者協会の会員で、年に一度の会合に出席した時、他の会員が、私は職場や学校でこういう理不尽な目に合っている、という報告を行うんですが、つい最近までそれを鼻でせせら笑って聞いていました。

「なんだ、その程度のことで…」
って感じですね。「俺はもっと辛い目に合っても乗り越えたぞ」ってね。

でも逆に自分が落ち込んだ時、それをやられると、相当惨めです。切ないものです。

またマスクの話から逸れてますね。

それでこういうマスクだらけの状況に置かれてみると、普段は気付かなかった、意外な事柄を発見するものです。

どこの職場にもお近づきになるのは、ちょっと敬遠したい人物がいるものです。ウチにもゴルゴ13のデューク東郷ばりの、しんとしたゴツいキャラがいて、僕もご多分に洩れず、彼からちょっと距離を置いていたんです。

そいつがある日、僕に手招きするわけですよ。嫌なやつに呼ばれてんなぁと、近づいていくと、おもむろに自分のマスクを指で摘まんで下ろし、
「hayaさん、この物品を調達して貰いたいんだけど、いいかい?」って訊くわけです。
「ああ、いいですよ」って返事して、「何個いります?」って逆に訊ねると、彼はまたマスクを下げて、
「2個ちょうだい」って頭を下げながら、答えるわけです。

なんか意外でした。
自分からマスクを下ろすキャラに見えなかった。

あいつ、優しいんかい。

色々と不平不満を言いながら、僕もマスクに慣れてきたんですかね。
ここのところ毎日面白い発見があります。