夜勤明けの空腹時血糖値は以下です。

 

師走に入り、急に寒くなりましたね。

先週の木曜日、仕事から帰宅した時のことです。

妻はパートに出ていて、まだ帰っていませんでした。彼女は仕事に出る前に、土鍋におでんを作ってくれてました

ホクホクの味の染みた大根、お汁に浸って少しふやけた感じのちくわぶ。お餅の入った巾着、具材は申し分ないボリュームでした。

「ヤッホー」と小躍りしながら、コンロで土鍋を温め、夕食の支度をし、YouTubeを観ながらおでんを一皿平らげます。最近は岡田斗司夫の字幕付きトークがお気に入り。

一皿で止めとけば良かったんですが、根が卑しいので、動画を観ながらおでんをおかわりしてしまいます。

妻も帰ってから食べるつもりだろうから、3分の2は残しとかなきゃいけないな…どうせならもう一回火にかけて、盛大なる湯気を、土鍋の湯気を、もう一度…というわけで、もう十分温まった土鍋にさらに火を焚べます。

この時の俺はどうかしてました。

火を使う時、水道を使う時、あらゆる生活音が聞こえない人間ですから、その場から離れないという、幼少時から守ってきたセオリーがあります。それを忘れた。

近年はスマートウオッチでタイマーを設定して場を離れるようにしていたんですが、それも見事に忘れた。

加えて、岡田斗司夫という男は、とにかく喋る、もうこちらの気を逸らす隙すら与えないくらい見事に喋る。

内容も結構面白い。この時は、ジブリの衰退について語っていて、宮崎吾朗の才能を、けなしてるんだか褒めてるんだか分かんないけど、とにかく痛快に話を展開してたわけです。

YouTubeの中では、ジブリの衰退は、結局宮崎駿が駄目出しのやり過ぎで、後進の芽を摘み取ってしまったからだと結論づけてました。

なるほどねぇ…。

でも俺、吾朗さんの作った「ゲド」も「コクリコ坂」も好きだったんだけどなぁ。

「アーヤと魔女」は実はまだ観てなくて、何か凄まじい駄作らしいけど、どこまで駄作なのか、一度観ておくか…とか考えながら、何か焦げ臭いのが鼻に突いてきた。

足元のストーブに目をやる。火の元に異常なし。気のせいだと思う。また焦げ臭いのが臭う。やっぱりストーブは問題ないし…。

…。

…。

…。

い、いかん! おでんじゃ!!

慌てて自室のドアを開けると、もうもうと白煙が漂っている。コンロに駆け付けた時には、土鍋の蓋の湯気穴から黒煙が噴き出していた。

壁の火災報知器のランプが点滅している。きっと、けたたましい音が出てるんだろうな。

コンロのガスは止めたけど、今更、土鍋の蓋を取る勇気もなく、ただ呆然とキッチンに立ち尽くしました。

ほどなくして妻が帰宅します。

異常を察しキッチンに現れた妻の顔は、プレデター討伐にやってきたハンターみたいに見えました。

「ごめんなさい。せっかく作ったのに、台無しにしちゃって」

私の伝家宝刀「平謝り」が炸裂します。

最近では手話学習の成果が現れて、表情にも申し訳なさが滲み出ていたと思います。

『申し訳ない事をした。ハヤタ隊員』

まるで初代ウルトラマンが憑依したように、ひたすら頭を下げ続けました。妻は詰めていた息を吐き、土鍋を見下ろしました。

蓋を取ると、土鍋の中はまるで竹炭を焼いた窯のようになっていた。ま、まっくろくろすけ…出ておいで。

妻は肩を落とし、何も言わずに奥の部屋へ消えていきました。言葉もないとは、このことだ。

本当に可哀想なことしちゃったな。

まったくひどい夫ですよ、私は…。

 

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