今朝の空腹時血糖値は106mg/dl。

正常値です。

 

手前の事情というか配慮により、具体的な地名、呼称を挙げるのは差し控えますが、今回は7月3日(月曜日)の集中豪雨の話です。

ちょっと記事ネタとして古い感じがします。タイムリーでなくて申し訳ないのですが、あの日起きたことが唐突過ぎて、頭の中でうまく整理できてなかったというのもあります。災害地の当事者というのはそういうものかもしれません。

後日、ニュースで被害の全貌を知り、職場から「あん時は助かった」とか言われたので、何となく記事にしておきたくなりました。

良い思い出なのか、悪い思い出なのか、未だにはっきりしないです。「あんな事、もうたくさんだ」と思ってることは確かです。

あの日は朝から大雨で、ドアを開けるまで、外が大雨だとは気がつかなかったんですよね。

例によって僕が難聴だからです。

それでもいつも通り車を走らせ、職場に向かっていると、所々で道路が閉鎖されている場面に出食わしました。

そこで僕もやっと異変に気付きました。

職場に着いて、控室で休憩していると、 その日、運転業務だった同僚が、申し訳なさそうに僕の側にやってきます。

たどたどしい彼の説明を聞いていると、どうも、外が大雨で、無事に目的地まで行くのに、今日は大丈夫だろうかねとか、僕に訊いているわけですよ。

すぐに事情を察しました。つまり一人じゃ自信が無いんだ。

「じゃあ一緒に乗って行こうか」

僕は自分の部署へ出かけてって、彼に同行する許可をもらいました。

重ねて言いますが、業務内容はあまり詳しく言えないので「待たせている客を車で迎えに行ったのだ」と思ってください。

二人で軽のバンに乗り、しばらく道路を走らせると、 いつも通る道に、大きな水たまりができているのに出くわします。

僕らは、その道路は平坦であるという認識があったため、まぁ、簡単に抜けられるだろうと、水たまりに突っ込んだわけですよ。

まだそこは道路を閉鎖されていなかったんです。

路傍に傘を持って立っている人が、ジェスチャーで僕らの車を止めようとしています。

気が付くと車体の半分近くまで水が迫って来てます。

これはやばい。プカプカ浮かんじまう、と思って、慌ててバックで引き返しました。

それから、どうしたかというと、市街地へ向かえば、時間はかかっても目的地にたどり着けるんじゃないだろうかと考えました。

遠回りになるけれども、市街地を経由して、目的地へ向かえば大丈夫だろうと思ったわけです。

市街地に入り、左折したところ、 道路が浸水していて、50m先に車の屋根が見えます。

もう一度言いますね。車の屋根が見えてるんです。

これはまずいということで、慌てて引き返し、もう少し市街地へ向かってみようということで、バンを走らせてみます。

そしてまた左折。左折直後にまた嫌な予感がしました。

対向車線から1台も車がやって来てないんです。 ということは、 この先も行き止まりだということです。

そのまましばらく走ると、やはり道路閉鎖中でした。

市街地へ引き返し、またリトライします。

もっと市内中心へ向かってみよう。

それからまた左折したところもまた、道路封鎖されていました。

サードトライアルも失敗です。

その後、4回目のトライアルで、ようやく大きな道路にたどり着きます。

そこでは対向車もちゃんと通行していて、今度こそ大丈夫だという確信を感じました。

確信を感じると同時に、尿意も覚え、こちらもかなり切迫している状況でした。

知らず知らず、ずっと我慢してたわけです。

おそらくトライアルが成功して緊張が解けたんでしょうね。

道路に入る手前にローソンがあったんで、そこに駆け込み、店のお姉さんに「すいませんが、トイレ貸してください」と小声で了解を得ました。

男子トイレは誰かがずっと入っていて、なかなか出てこなかった。

おっきいのをしてたんだろうな。

「わー、困ったなぁ」という感じでパニクってたら、さっきのお姉さんが女子トイレを使いなさいよ、と助けてくれました。

間一髪で尿失禁を免れました。

財布も持たずにやってきたんで、何も買うこともなく、すいませんとだけ頭を下げて、バンに帰還しました。

僕はGoogleマップを駆使して目的地へのナビゲートを行い、運転手の彼はというと、家族や親しい人のスタッフとのLINE 交換行なっていました。

彼はLINEの「川が氾濫して大変だね(⁠。⁠ŏ⁠﹏⁠ŏ⁠)気を付けてね」というメッセージを自慢気見せてきました。

俺がこの男に同行している理由が何となく分かるような気がする。

大通りを通って氾濫している川を三つ渡り、ようやく向こう岸にたどり着きます。

悲しいことに、遠回りしすぎたせいで、目的地からかなり遠ざかってしまい、見知らぬ道をスマホのナビだけが頼りという状況でした。

二人ともそこからの道のりは、 全くの未知数でした。

普段なら畑の多い見晴らしの良い土地なんですが、この日はほぼ湖上をボートで漕ぐような感じで、 辛うじて露見しているアスファルトを走らせている感じだったので、脱輪したり乗り上げするようなことがあったら、一発アウトです。

目的地は田舎の村の小さな集落でした。

その集落を見つけた相方が

「あったぞ。hayaさん、あれだ、あれだ」

と言いながら指さした、 集落が

小さなこと、小さなこと。

漂流の末に、小さな孤島に流れ着いたような、そんな感じでした。

待たせていたお客を乗せ、車を走らせると、 「おい、どこへ行くんだ。向こうだろう」と言い出します。

お客は今この土地がどんな状況なのか分からないんです 。

「向こうはもう川が氾濫して道がないんです」

と言うと、「えぇーっ。そうなのか」と分かりやすくびっくりしていました。

元来た道を辿ってノロノロと車を走らせていると、お客は「あんな渋滞してる道に入らなくても、このまままっすぐ突っ走っちゃえ」

と、突然指示を出します。

「えーっ」と、僕らは顔を見合わせます。

また更に遠ざかるのかい?

どうやって職場に戻るんだ。

「僕らはこの先の道は、 全然わからないから、まっすぐ行くのは無理です」とかなり渋っていたんですが、お客は譲りません。

確信を持って「まっすぐ行け」と言い続けます。

そこで僕と相方は、仕方なくまっすぐ車を走らせます。

幸いお客はかなり道に詳しくて、 僕たちの職場までの道のりを、渋滞に捕まらないようにナビゲートしてくれたんです。

行きの1/4ぐらいの時間で、職場へ帰ってこれました。

まあなんとか職場へたどり着けました。

職場戻ってきて、待ち受けたスタッフの表情には、困惑の色が浮かんでいました。

「何でこんなに遅くなったの?」 口々に言います。

彼らは知らないんです。

街の状況を。

その日の午後はなぜだか晴れ上がり、職場の周辺は何事もなかったかのように、落ち着きを取り戻しました。

家に帰ってテレビを見ていると、

上空からヘリコプターで撮影した、僕らの街の周辺の画像が映し出されました。

想像以上の惨状でした。

僕らが何度も何度も引き返して、市街地中心部へ向かってったことも、決して間違ってはいないことが明らかになりました。

2日後。 僕と彼は職場で再会し、あの時僕らが市街地を右往左往していたことは、間違っていたことでも何でもなかったんだよな、と確認し合いました。

あのお客とも再会し「あの時は本当にすいませんでした。ありがとうございます」 と労いの言葉をかけられました。

まぁ無事で良かったです。

この物語を、何か教訓めいたメッセージで締めたいのですが、何も浮かばないですね。

ただあの日、二人で行かなかったら、確実にメンタルがやられていたと思います。

まぁ、頑張れて良かった。

地震の時もそうだったけど、人生色々あるな。