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市川沙央さんの芥川賞受賞作「ハンチバック」は、筋疾患先天性ミオパチーによる側弯症の主人公・井沢釈華が、グループホームでの生活や文章を書くことについて描いた小説です。

出だしからHTMLのタグに囲まれた文章から始まるので、面食らう人もいると思うんですが、これは主人公がWEBライティングで小遣いを稼いでいるから。しばらく読み進めると普通の文章になります。

彼女は両親が遺した多額の遺産とグループホームによって、十畳ほどの部屋からほとんど外に出ない暮らしを送っています。

グループホームのヘルパー・田中は釈華のTwitterアカウントを見つけて興味を持ち、彼女に接触します。

田中は釈華の身体や文章に対して、好奇心や同情や欲望を持ちますが、わりと屈折した野郎で、この男の言うことに釈華はいちいちイラつきます。

釈華は田中に対して反発しますが、自身の「妊娠して中絶してみたい」という欲求には抗えません。

それで、釈華は1億5500万円の小切手を切って、田中に自身の妊娠を託すんですよ。

二人の関係は、愛もないまま進行するんですが…。

という筋書きですね。後は買って読んでください。

まぁ純文学作品だから難解なのは当然だとして、それよりも人としてよく分かんない部分があるんです。

まず、主人公は自分で身ごもった子供を殺したいという願望があること。

現代の優生保護を糾弾する風潮などを見ても、障害者が子供を持ちたいという欲求は自然なことで尊重されるべきだと思うけど、授かった生命を殺したいというのは、どういうこと?

だいぶ考えたけど解らなかったので、AIにディベートをお願いしてみた。

AI 
主人公は、自分で身ごもった子供を殺したいという願望があるのは、自分の身体や遺伝子を嫌っているからだと思います。彼女は、自分の身体が曲がっていることや病気であることに対して、恥じることも隠すこともなく、自分の存在を主張していますが、それは自分を守るための防衛反応でもあります。彼女は、自分の身体や遺伝子を他者に受け継がせたくないという気持ちも持っています。彼女は、自分の子供が自分と同じように苦しむことを望まないという気持ちも持っています。彼女は、自分の子供に対して、愛情や憎悪や嫉妬や罪悪感などの複雑な感情を抱いています。彼女は、自分の子供を殺したいという願望を持っていますが、それは自分を殺したいという願望でもあります。

haya
だったら最初から妊娠を望まなければ良いのでは?

AI
最初から妊娠を望まなければ良いというのは、簡単に言えることではありません。主人公は、自分の身体や遺伝子を嫌っている一方で、自分の子供を望むという欲望も持っています。彼女は、自分が「人間」になりたいと願っているように、自分の子供も「人間」になってほしいと願っています。彼女は、自分が他者から認められたいと思っているように、自分の子供も他者から認められてほしいと思っています。彼女は、自分が生きる意味を見つけたいと探しているように、自分の子供も生きる意味を見つけてほしいと探しています。彼女は、自分の身体や遺伝子を否定することで、自分の子供を否定することになるというジレンマに直面しています。彼女は、自分の子供を殺したいという願望を持っていますが、それは自分の欲望を殺したいという願望でもあります。

haya
子供を産むのは駄目だということは分かっていても、根源的な欲求からそれを求めてしまう、ということですか?

AI
そういうことだと思います。主人公は、自分の身体や遺伝子を受け入れることができないのに、自分の子供を受け入れることができるとは限りません。彼女は、自分の身体や遺伝子を変えることができないのに、自分の子供を変えることができるとは限りません。彼女は、自分の身体や遺伝子を愛することができないのに、自分の子供を愛することができるとは限りません。彼女は、自分の身体や遺伝子に対して、否定的な感情を持っていますが、それは自分の子供に対しても持ってしまう可能性があります。彼女は、自分の身体や遺伝子に対して、肯定的な感情を持ちたいですが、それは自分の子供に対しても持ちたいです。彼女は、自分の身体や遺伝子に対して、複雑な感情を抱いていますが、それは自分の子供に対しても抱いてしまうでしょう。彼女は、自分の身体や遺伝子に対して、根源的な欲求を持っていますが、それは自分の子供に対しても持っています。

ごもっともな意見なんですが、だとしても、妊娠したい欲求が充足したら、さっさと処分するというのは、人としてやはり絶対におかしいと………。

やっぱりAIは、作品の擁護に回るスタンスは崩せないらしいので、AIに人道的意見を求めるのはナンセンスです。

そこまで考えてハッと我に返ったんだけど、これは所詮、小説世界の出来事で、創作世界の設定なら、そう目くじらを立てて憤るほどのことではないのです。

理不尽な思想を持つ登場人物なんて、掃いて捨てるほどいますしね。

とは言え、どうもやはり理解出来んな。というより、許せんな。腹立つな。

だいたいオレは頭が幼な過ぎるんだ。

僕がKindleで購入したと聞くと、嫁は「じゃあ、私は本屋で買ってくる」と言い出しました。

きっとハートウォーミングなストーリーだと誤解してると思って、スマホで少し読ませたんですね。

そしたら、目の輝きが消え、本屋に行くの止めました。

嫁さんにも手に負えなかったか…。

これがスゴイ小説だというのは分かりますよ。

しかし、 人によっては好き嫌いがあると思うんですよ。

僕なりの解釈で良かったら言いますけど、これはやはり障害に向き合うべくして書かれた創作、というより、アブノーマルな性愛ドラマですよ。

冷静に読み進めて分析すれば傑作なんでしょうが、僕はその前に私情を持ち込んで拒絶してしまうタイプのようです。

まぁ、オレの頭じゃ、作品解釈なんて完全に役不足です。

最近バリバラに出演されたみたいですね。今週再放送があるらしいので、観てみたいと思います。

Kindleで1400円でした。